GROUP 04
◆GROUP 04: part 04
いわゆる雑訳。
過度の要約・雑訳・大約によって、細かな表現や内容は割愛されてしまっている、ないし、原文とは違うものに置き換えられている例群。
原文の細かで個性的な表現へのリスペクトが不足しており、意味合いやニュアンスがずれてしまっている例も含む。
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◎例
3巻冒頭より。病院で百目鬼が矢代に服を着せているときの会話から。
百目鬼のセリフの意味合いとニュアンスがずれているのを修正した。
Doumeki
"I think you have better tolerance for pain than most people."
Yashiro
"Ah?
Don’t talk cheeky. You were just sobbing your eyes out yesterday.
百目鬼
「頭は 人より多少 我慢強いだけだと思います」
矢代
「あぁ?
生意気 言ってんじゃねーよ
昨日メソメソ泣きやがったくせに」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Doumeki
"I think you're just better at hiding it than most people."
Yashiro
"Oho!
You're sure talking big for someone who was sobbing their eyes out yesterday.“
百目鬼
「頭は 人より多少 痛みを隠すのがうまいだけだと思います」
(以下略)
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◎例
3巻より。松原組事務所での、矢代による百目鬼を評したセリフから。
全面に雑訳。1行目は完全に無視されているのを正した。
Yashiro
"Well well, sorry for you.
I have this heavy tank like guy as one of my men somewhere.
So?
Where’s your Boss? I heard he dropped out of sight, right?"
矢代
「いやいや悪ィなぁ
いつの間にか重戦車みてぇのが交じってたみたいでよ
んで?
組長(ルビ:竜崎)は今どこにいるんだ?
雲隠れしてんだって?」
元の英訳と、筆者によるその日本語対訳は、以下。
Yashiro
"Must be rough. You look like you ran into a tank.
Well?
Where’s your Boss? Did he just vanish into thin air?"
矢代
「乱暴しちまったみてぇだなぁ
戦車にぶつかったみたいな面になっててよ
んで?
組長はどこにいるんだ?
ただ跡形もなく消えたんだって?(/雲隠れしてんだって?)」
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◎例
3巻より。影山のクリニックで百目鬼に口でされた直後の矢代のセリフから。
記号や単語の忠実な反復数、ラストの「別にビビってねーし」という一文の精緻な訳語の選択次第で、どれだけ作品から受ける印象が変わってくるかがわかりやすい例。
Yashiro
"……Go…
rinse your mouth out.
Whew——…
…Naah, naah, naah.
Not really.
I’m not freaking out."
矢代
「……口
ゆすいでこいよ
ふ————…
…いやいやいや
別に ビビってねーし」
元の英訳と、筆者によるその日本語対訳は、以下。
Yashiro
"Go…
rinse your mouth out.
Whew…
Naah.
I’m not that worried."
矢代
「口…
ゆすいでこいよ
ふ—…
いやあ
そんなに心配してねーし」
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◎例
3巻より。ホテルの廊下で、百目鬼により気絶させられた井波を引きずる杉本のセリフから。
雑訳。原文の雰囲気により忠実にすることは可能だ。
Sugimoto
“……That guy…
I never wanna get on the wrong side of him."
杉本
「あいつ……
ぜってー敵にまわしたくねえな」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Sugimoto
“Remind me…
...Never to get on that guy's bad side."
杉本
「覚えとけよ、俺…
…ぜってーあいつを敵にまわさねえように」
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◎例
3巻ラスト、ホテルのベッドで自慰する矢代のセリフから。
「クソ…ッ なんっだよ ……これ(Shit…! What…is…this…?!)」が「クソ… 俺どうしちまったんだよ…?(”What’s wrong with me?”)」とされ、若干意味合いがずれ、不要な語が強調されている。また、喘ぎ声の「っ」「——!」「……」などの繊細な表現の再現例でもある。
Yashiro
"Hah!
...Nn...
Nh...
...
Ah...
...
Hah...!
————...!
...!
Hah——
Haah——
Shit…!
What…is…this…?!
Nngh…
…!"
矢代
「…はっ
…ん、
ん、
あ、
…っ
…っ
はっ…
————…っ
…っ
クソ…ッ
なんっだよ
……これ
んっ
…っ」
元の英訳は、以下。
Yashiro
"Hah!
Hnn...
Ngh...
...
Ah...!
...
Hah...
...
Hah—
Haah—
Shit…
What is wrong with me...?
Ngh…
…"
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◎例
4巻より、竜崎を殴ったあとの七原のセリフから。
「できるだけ忠実に英訳する」という目的には、なかなかに難しい箇所だが、以下のように試してみた。
Nanahara
"…Don’t underestimate…
this wreck of an ex-boxer’s fist."
「元ボクサー…
のなれの果ての拳
ナメんなよぉ?」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Nanahara
"I may not be a boxer anymore...
But my fists are still worth something, I guess."
「俺はもうボクサーじゃないかもしれないけれど…
でも、俺の拳は今でもなかなかのもんだと思うぜ」
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◎例
4巻より。七原と矢代の出逢いの頃のエピソードから。
褒め言葉が、けなすニュアンスの表現に変えられてしまっているのを修正した。
The Book Keeper
“And he’s got this…intriguing vibe."
名簿屋
「それに なんだろ
妙に雰囲気ある」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
The Book Keeper
“And he’s got this…strange vibe."
名簿屋
「それに こう…
変な感じがある」
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◎例
4巻より。七原と矢代の出逢いのシーンから。
大幅な簡略化で元の日本語表現がすっぽり抜け落ちたり、味わいが消えてしまっているのを修正した。
Nanahara (in his mind)
"Wowww!
Shit…! Why am I stunned by a homo like this?!!”
[…]
Nanahara (in his mind)
“Wait, that Old Man has some nerve…
He did it with this guy, and just played dumb…"
七原(心の中で)
「うおぉっ
クソ…っ ホモに見惚れた‼」
(中略)
七原(心の中で)
「つーかあのオヤジ
しっかりやっといて
よくもまぁ とぼけやがったな…」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Nanahara (in his mind)
"Whoa!
Shit! Why am I staring at a homo like this?!”
[…]
Nanahara (in his mind)
“Wait, was the old man just playing dumb?"
七原(心の中で)
「うおっ!
クソっ! なんで俺ホモに見入っちゃってんだ⁉」
(中略)
七原(心の中で)
「つーかあのオヤジ とぼけやがったな?」
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◎例
4巻より。同じく、七原と矢代の若い頃のエピソードから。
過度の簡略化や違う表現への置き換え。「脳ミソ マシュマロ並に軽いだろ」「あいつはねぇ ないと思うよー ないない」「いいように(使われて)捨てられるぞー」などの個性的な表現が消えてしまっていたのを修正した。
Yashiro
"Y'know, you're a poor judge of character." ( / You don't have the eye to see through people's facades.)
Nanahara
"Ah...aah?!"
Yashiro
"You don't think through anything usually, do you?"
Nanahara
"Wha—!
Wha—!"
Yashiro
"Your brain must be as light as a marshmallow."
Nanahara
"Y- you bastard! What the fuck do you know about me…?!"
Yashiro
"Gee, that guy.
I don’t think he’s an option.
No, no."
Nanahara
"He...he's a good guy! He does have a true shred of humanity, unlike you!"
Yashiro
"Ha Ha!
Humanity! Haven't heard that word in a while!
You’ll see.
You’ll be used by him, and sooner or later he’ll abandon you."
Nanahara
"...What did you...?!"
矢代
「お前 人見る目ないね」
七原
「あ、…ああ⁉」
矢代
「普段 何も考えてねーだろ」
七原
「なっなっ」
矢代
「脳ミソ マシュマロ並に軽いだろ」
七原
「てってめえに 俺の何が…っ」
矢代
「いやぁ あいつはねぇ
ないと思うよー
ない ない」
七原
「あ… あの人は 良い人だ!
アンタと違って ちゃんと人情あんだっ」
矢代
「はは
人情!
久々に聞いた!
そのうち いいように 捨てられるぞー」
七原
「んだと…」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"Y'know, you're a poor judge of character."
Nanahara
"Wh…what?!"
Yashiro
"You don't normally think things through, do you?"
Nanahara
"Wh—
Wh—"
Yashiro
"Your brains must be made of mush."
Nanahara
"You bastard! What the fuck do you even…"
Yashiro
"No, it's just...if we're talking about that guy, I personally wouldn't trust him.
No way!"
Nanahara
"He...he's a good guy! He’s actually got a shred of humanity, unlike you!"
Yashiro
"Ha Ha!
Humanity! Haven't heard that word in a while!
You’ll see.
Sooner or later he’ll abandon you."
Nanahara
“You…”
矢代
「お前 人見る目ないね」
七原
「な…なんだと⁉」
矢代
「普段 物事ちゃんと考えてねーだろ」
七原
「なっなっ」
矢代
「脳ミソ 崩れてヤワヤワだろ」
七原
「てってめえ! いってー俺の何がお前なんかに…」
矢代
「いやぁ ちょっと…
俺らの話してんのがあいつならねぇ
俺は個人的にあいつは信用しないね
絶対勘弁な!」
七原
「あ… あの人は 良い人だ!
アンタと違って 人情あんだっ」
矢代
「はは
人情!
久々に聞いた!
そのうち捨てられるぞー」
七原
「てめぇ…」
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◎例
4巻より。同じく、矢代と七原の若い頃のエピソードから。
矢代の飄々としたセリフ「なーんだ(残念)」の表現がほぼ消えてしまっているのを修正した。
Nanahara
“The tip-off…
Wasn’t it you?”
Yashiro
"And if it was? Will you give me a blow job to say thanks?"
Nanahara
"F—
Fuck, no!"
Yashiro
"Aww, that's a bummer."
七原
「タレコミ
アンタじゃないんすか?」
矢代
「だったら? 何? 礼に尺八でもしてくれんの?」
七原
「だっ
だれがするかっ」
矢代
「なーんだ」
元の英訳は、以下。
Nanahara
“The tip-off…
was it you?”
Yashiro
"And if it was? Will you give me a blow job to say thanks?"
Nanahara
"F...
Fuck, no!"
Yashiro
"Aww..."
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◎例
4巻より。同じエピソードから。
原文の個性的な表現に忠実に修正した。
"……
……Wha…
What a goddamned[BT2] contrarian…"
「…………
……な
なんつー
天の邪鬼…」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Nanahara
"This guy's twisted as hell."
「この男、恐ろしくひんまがってる」
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◎例
4巻より。七原を拉致した甘栗たちのバンを、百目鬼と矢代が車で追いつめるシーンから。似た例をもうひとつ。
「カーチェイスみたい」という原文の表現が、公式英語版では省かれているが、そのまま尊重し訳出した。
Yashiro
"Wooww!
It’s just like a car chase you’d expect."
Doumeki
"...I'm Sorry!
Boss, please. Your seatbelt...!"
矢代
「わーお
カーチェイスみたい」
百目鬼
「…すいませんっ
頭 シートベルトをっ」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"Wowww!
It’s just like you’d expect."
Doumeki
"I'm sorry!
Boss, please, your seatbelt―!"
矢代
「わーお
まさにそうなりそうな期待どおりな感じ」
百目鬼
「すいませんっ
頭 シートベルトをっ」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
◎例
4巻より。似た例をさらにもうひとつ。
「捕らわれた地底人」という個性的な表現をそのまま残した。
Yashiro
"…Well, he looks like some kind of captured troglodyte."
Sweet Chestnut
“……”
矢代
「…なんか 捕らわれた地底人みてー」
甘栗
「……」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"Well, he sure looks like he's from the underground."
Sweet Chestnut
“…”
矢代
「いやあ、マジで地面の下からやってきたみてえ」
甘栗
「…」
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◎例
4巻より。百目鬼のアパートでのシーンから。目覚めた矢代のセリフより。
「ついに」「ってんなわけねー」という部分が抜けているのを正した。
Yashiro
"…Where am I?
Did I time-travel…?”
Yashiro (in his mind)
“No, that could never happen.”
矢代
「…なにこれ
ついに
時をかけちゃった?
俺…」
矢代(心の中で)
「って
んなわけねー」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"What's going on?
Did I lose track of time while I was…?”
Yashiro (in his mind)
“No, wait.”
矢代
「…なにこれ
…いつの間にか、時間の軌道から外れちゃった?
俺…」
矢代(心の中で)
「いや、待て」
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◎例
4巻より。百目鬼と矢代の車中での親密なシーンから。
「散々」や「どんなに悦いか」などの抜けを修正した。
Yashiro (in his mind)
"I know——
...what happens to me when someone sticks his tongue in.
The sensation that I’ve savored so many times before.
And how awfully good it feels if I’m jerked off at the same time.
——But…
————……!
I don't know this guy's tongue."
矢代(心の中で)
「知ってる——
舌を入れたら どうなるか
散々味わってきた感覚
同時に扱いたら
どんなに悦いか
——でも
————……
こいつの舌は 知らない」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"I know...
...what happens to me when someone sticks their tongue in.
The sensation that I’ve come to savor.
And the ecstasy of being jerked off at the same time.
But…
...
I don't know this guy's tongue."
矢代(心の中で)
「知ってる——
舌を入れたら どうなるか
これまで味わってきた感覚
同時に扱いたときのエクスタシー
でも…
…
こいつの舌は 知らない」
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◎例
4巻より。続くシーンから。
「はっきり言って 他の部下より甘々だ」が「ほんとに 他の部下たちよりお前は可愛いよ」と誤訳。そのほか雑訳。
Yashiro
"...Doumeki…"
Doumeki
"Yes?"
Yashiro
"You’re cute.
I think you’re sweet.
Quite frankly, I’m so much softer on you than on my other subordinates.
But even then, I’ve come to feel a bit scared by you."
矢代
「…百目鬼」
百目鬼
「はい」
矢代
「お前
可愛いな
俺はお前が 可愛いよ
はっきり言って 他の部下より甘々だ
ところが
可愛い筈なのに
怖いとか思うようになった
この俺がさ」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"Doumeki…"
Doumeki
"Yes?"
Yashiro
"You’re cute.
I think you’re adorable.
Really, you're sweeter than my other subordinates.
But even then, there's a part of me that still thinks you're a bit scary."
矢代
「百目鬼…」
百目鬼
「はい?」
矢代
「お前
可愛いな
俺はお前が 可愛くてたまらないよ
ほんとに 他の部下たちよりお前は可愛い
ところが
可愛い筈なのに
どこかでちょっとお前を怖いとか思うようになった
この俺がさ」
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◎例
4巻ラストの百目鬼と矢代の会話シーンから。
「安心しきっていた」という表現の一部抜けによる雑訳。ほんのひと言でも感触がまるで違ってくる。
Yashiro
"I thought it’s because you’ll have no one but me…
But that was wrong.
A part of me was totally relieved to know that you were impotent."
矢代
「お前が俺しかなくなるからだと思ったけど
それも違った
インポだからって
どこかで
安心しきってたんだよな」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"I always assumed you'd have no one but me…
But I guess I was wrong about that.
A part of me was relieved to know that you were impotent.
矢代
「いつもお前が俺しかなくなると思っていたけど…
俺が間違ってたみたいだな
お前がインポだからって
どこかで
安心してたんだよな」
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◎例
4巻ラストの百目鬼と矢代の会話シーンから。
影山のクリニックと病院を取り違えているほか、「そっか そっかあ」の韻を踏んで繰り返している部分をわざわざ別の言葉で置き換えている。「…」「——」の間合いの妙も消えている。
Yashiro
"…Since when?"
Doumeki
"……Probably,
the first sign was the time I saw you……doing it in a bathrobe……"
Yashiro
"…Wow——…
That’s quite long ago. I’m surprised.
And when did you know for sure?"
Doumeki
"The time I used my mouth on you in the Clinic."
Yashiro
"Ah——…
…I see.
I see…"
矢代
「…いつからだ?」
百目鬼
「……多分
兆候は
バスローブで……
シてるのを見せられた時です…」
矢代
「…へ———…
結構前で
びっくりした
ちゃんとは?」
百目鬼
「病院であなたのを口でした時です」
矢代
「…あ——
…そっか
そっかあ」
元の英訳と、筆者によるその対訳は、以下。
Yashiro
"Since when?"
Doumeki
"The first sign was most likely...
the time I saw you...doing it in a bathrobe..."
Yashiro
"Wow... That long ago, huh. That's surprising.
And when did you know for sure?"
Doumeki
"The time I used my mouth on you in the hospital."
Yashiro
"Ah…
Is that so?
I see…"
矢代
「いつからだ?」
百目鬼
「最初の兆候は
多分バスローブで…
シてるのを見せられた時です…」
矢代
「へ—…
すごい前じゃん
びっくりした
ちゃんとは?」
百目鬼
「病院であなたのを口でした時です」
矢代
「あ—
そっか
なるほど…」
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◎例
4巻初回限定版および電子版に別冊として収録された短編「遠火」より。
ちなみにこの短編のタイトルは、公式英語版では “Distant Flame” と訳出されているが、筆者がもしも訳すならば "A Flame in Distance" としたくなるところ。距離感をもって見つめられている炎というこの句の感触が、遠目から互いに目を奪われた百目鬼と矢代の様子に親和性が高いと思うからだ。
A Flame in the Distance
Doumeki
"When I first saw him, I thought he was a beautiful person——."
「初めて見たとき、綺麗な男(ルビ:ひと)だと思った——」
元の英訳は、以下。「とても魅力的な男性だと思った」と変えられている。
Distant Flame
Doumeki
"When I first saw him, I thought he was a very attractive man—"
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